ものがたり食堂Vol’13 『チャーリーとチョコレート工場』とちょっと思った事。

こんにちは。
先日のものがたり食堂vol’13も無事に開催することができました!!
今回のテーマは映画にもなったイギリスの児童小説『チャーリーとチョコレート工場』でした。
個人的にこのミュージカルのように急に始まる音楽が好きで、特にオープニングの人形たちが燃えていくシーンとバイオレット(ずっとガムを噛んでいるボブの女の子)のシーンがお気に入りです。全然食には関係ないのですが脱落していく子どもたちのテーマソングがそれぞれスタイルが違ってとても興味深かったのです。パーカッシブだったり、ロックだったり、サイケでヒッピー、そして70年代。どこか統一性はあるけどスタイルはバラバラ。これは私にとってフルコースを食べてるような感覚になりました。何が出てくるかわからない。でもきっと裏切らない。遊びゴコロがあって見ていて楽しい。そして美味しい。そんなお料理を作って行きたいと思える作品になりました。
2月ということで、1週間遅れてしまいましがバレンタインを意識してチョコレートを使ったお料理と前回より1品多くなってグレードアップしました!!
2016/02/19
チャーリーとチョコレート工場
アミューズ『永久にキャベツだけのスープ』
チャーリーの家は両親とおばあちゃん2人おじいちゃん2人と7人暮らしの本当に貧しい暮らしをしていました。食べるのにも困るほどで、食事はいつもスープ。具がほとんどなくていつもキャベツが入ってました。あるお話の中でお母さんが大人の永久は=長い間という意味よ。と教えてくれたのですが、そんなスープにケチをつけるようにジョージおじいちゃんが『永久にキャベツだけのスープ』と言ったのです。このジョージおじいちゃん口は悪いのですが、チャーリーが家計を助けるため金のチケットを換金すると言った時、止めてくれたのがジョージおじいちゃんでした。
そんなエピソードからできたキャベツのスープです。
3種類のキャベツを使ってスープ、マリネ、ピクルス。味は本当にシンプルに仕上げました。
スープはオリーブオイルでゆっくり炒めてヒマラヤ塩で仕上げたものをペースト状にして。
芽キャベツのマリネはオイルと塩だけ。
紫キャベツは塩とアップルビネガーだけで仕上げました。
本当にキャベツだけ!!なのですがそれぞれのキャベツの美味しさを最大限に出した一品になりました。
ーひとつめの前菜ー
ブルーでブルーなパイ
個人的にとっても好きなバイオレット!!ずっとガムを噛んでいてとっても強気!!でもまん丸にされちゃうのがたまらなく可笑しくてかわいいのですw まだ実験途中の一つでフルコースが楽しめるガムを食べてしまい、問題のデザート『ブルーベリーパイ』が原因で体はまん丸に、そして青く染まってしまったのです!!!
そんなブルーでブルーなパイは、ブルーチーズのタルトにブルーベリーソースを。そしてキャラメルソースでお楽しみいただきました。
ーふたつめの前菜ー
くるみとチョコレートと…
ここのシーンではくるみを剥くのは機械ではなく、リス!!!!機械の代わりにリスが殻を剥いてくれるんです!!
なんでも欲しがりのベルーカはたくさんのペットがいるのにも関わらず、今度はここのリスが欲しいとか!!!
リスはくるみの中身を叩いて判断して、悪い身が入っているものはゴミ箱へ!!!もちろんベルーカの頭はすっからかんなので、ゴミ箱行きでした。。。。
ということで、2つ目の前菜はくるみとチョコレートと牛肉となりました。
くるみはゴマと合わせてソースに、チョコレートも少し酸味を加えてソースに、2種類の苦味の違ったソースに合わせて牛肉は赤みが美味しいローストビーフにしました。
ーメインー
ものがたり食堂のポジョデモーレ
ポジョ pollo (鶏) モーレmole(ソース)
これはメキシコ料理の一つなのです。なのでスペイン語。
開催する時まで 前置詞には 『de』だと思ってたのですが、どうやらいろいろ調べて行ったら『en』ということがわかりました!!
なので pollo en mole (ポジョエンモーレ)になるそうです!! お越し下さったみなさま失礼いたしましたm(_ _)m
モーレって聞いたことありませんか? そう!!ワカモーレ!!
実はスペイン語ではソースの意味が2つあって、salsa(サルサ)とmole(モーレ)があります。サルサはスペイン語で、モーレはメキシコの先住民族の言葉なのです。みなさんご存知のguacamole(ワカモーレ)はアボカドのソースという意味になるんですね。
ではなぜこのポジョエンモーレを作ったかというと、チョコレートが入っているのです。鶏肉にチョコレート??と思われる方もいらっしゃるとおもうのですが、とーっても美味しいのです!!!
普通は、ソースをペースト状にして焼いた鶏肉にかけるスタイルなのですが、今回はそのままシチュースタイルでご提供いたしました。それもクスクスと一緒に。
スパイスはシナモン、クローブなど、それにレーズンが入っていて甘みを引き出してくれるんです!!
ーデザートー
甘い泉のお楽しみ
デザートはこれ!!きっとみなさん喜んでくれると思ってなんとか手に入れました!!!チョコレートファウンテン!!
当日までに届くかハラハラドキドキしました。問い合わせは1ヶ月以上も前からしていたのに一向に連絡がなく、どうやらアメリカから輸入しなくてはならなかったのです。コンセントの形のチェックやらなんやらで、本当にドキドキした日々でした。
でもやっぱりこれにして本当に良かったと思いました!!チョコレートも贅沢にたっぷり1.5kg!!しかもクーベルチュール!!なかなかこんなに贅沢な美味しいチョコレートを味わうっていうのはないと思いました。何よりみなさんが楽しんでくれてるのが本当に嬉しかったです!!
さて、今回のお土産は……….
サイケなドーナッツでした。
今回の物語のイメージはカラフルで甘くてちょっとサイケ。。。。朝ごはんにということで、次の日もものがたり食堂が素敵な思い出であるようにと思って作りました。超絶激甘だったと思います。。。。w
ー思った事、悩んだ事、解決した事、やりたい事ー
正直、去年より一気に1500円もあげることにとても抵抗もありました。もう誰も来なくなってしまうかも。。。。と凄く悩みました。
でも、そんな悩みを解決してくれたのはお客様でした。『もう少し価格を上げた方がいいよ?美味しいだけじゃなくて、楽しいし、いつも驚きがあるんだから。これを安くしてはダメよ??』と……とても有り難いお言葉を頂きました。勿体無いお言葉ですね。仕込みの時間はもちろんですが、メニューの構成や前菜からメインまでのバランスを考えて、お皿に表現して行くことまでの事を考えてお話してくれたんです。もちろんそれまでのプロセスだけではなく、本当に使いたい食材を妥協していたのもありました。
ものがたり食堂は毎日オープンしているお店ではありません。レストランやカフェでランチを安くできるのは、ディナーがあるからです。(そうじゃないところももちろんあります!)お店のほとんどがディナーメインのお店だと思います。ディナーに向けて準備をする。つまりディナーでさばききれなかった食材や材料を使うので、コスパがいいのです。お店ではお客さんがこなくても万全の体制で準備しています。どんなに美味しいものを作ってもメニューから選ばれなきゃ残って捨ててしまうことだってあるのです。そんな食材をランチにする。そういったところがほとんどだと思います。さらに、付け加えると安く仕入れるコツは交渉です。
わたし『フォアグラ月に10万円分買うからちょっとさげてくれませんか??』
もちろんお願いするだけではダメで、業者さんが困っていたら助けてあげる事だって重要です。
業者さん『今月売り上げ低いんで、何か買ってくれませんか〜??』
とかやってましたが、なんて交渉はレストランやカフェ店舗を持ってるところにかぎるのですよ〜〜〜〜〜〜〜。
なんか打線しそうになりましたが、なにが言いたいかというと。
コスパの良いレストランのランチと比べられてとても悲しかったのです。
『〜のレストランのランチより高くなっちゃうの??あらま!!!』
と言った感じでした。すみません、愚痴ですねwいや、本当にただ悲しかったんです。でも一応説明しておくと、ものがたり食堂はディナーですw
1日だけという特別なお料理を考えるのに頭フル回転させてます、全然売り上げにならなくても続けてきました。売り上げどころか『これが良い!!!』となると高くてもその食材を使いたくなるという、どうしようもない私もいたのです。でも、妥協したときはなんだか納得のいかない時もありました。
ちょっと悲しかったけど、勇気をだしてみたら、自分がやりたかったことができたのです。牛肉!!使いたかったけど、なかなか手が出せませんでした。チョコレートもクオリティの高いものを使うとやっぱり違う!全然違う!!スパイスだって、フルーツだって、野菜だって、妥協しないで食べてもらいたいものを提供したいのです。
本当、これだけなんです。
それと、私のしたいこと、目標というと大げさなんですが、、、、お店を持ってなくても認めてもらえるようになりたいと思いました。
『あのお店に行こう!!!』と同じ感覚で『あの人のお料理を食べに行こう!!!』となる日が来るようにしたいです。それは私に限らず、お店を持たないコック 『ノマド シェフ』として活動している全員のために。
なんだか長くなってしまいましたが。。。。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
さて、次はどんな物語にしよう??
お楽しみに(^-^)
投稿者プロフィール

- フードディレクター
-
2年間イタリアへ修行、帰国後、イタリア料理という枠から飛び出し様々な料理を楽しんでもらえるようお店を持たず、ケータリングという形で料理を提供している。
ケータリングや『ものがたり食堂』を中心に活動。『持たない暮らしの簡単つくりおきレシピ』監修
『新刊わかったさんシリーズ』レシピ監修。
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